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業務へのスマホ利用のメリットとデメリット

ショッピングセンター(以下、SC)業界にも人材不足や働き方改革を背景としたIT導入トレンドの波がたちはじめている。ITトレンドの1つとして注目されている「BYOD(Bring Your Own Deveice)」これは、社員が私物のスマートフォンやタブレットを業務に活用することを意味し、”いつでも・どこでも”仕事ができる環境を手軽に構築できる。企業側としては業務用の端末を個別に用意することに比べ、機器導入のコストや通信料、機器メンテナンス費用といった経費を大幅に抑えることができるメリットがある。

 

しかし、こういったコスト面でのメリットに加えて業務の効率化も図ることができる一方で、セキュリティ以外にもデジタル残業という大きな課題が実在することも確かである。特にノートパソコンやタブレット端末と違い、スマートフォンは常に身に着けており、利用者自らの意思に関わらず通知が見えてしまうという違いがある。このデジタル残業については、IT先進国で訴訟大国でもある米国では、現実に集団訴訟も起きているといい、運用方法に注意しないと「セクハラ」「パワハラ」に次ぐ訴訟の波が押し寄せるかもしれないという懸念もある。というのも、会社の外にいる時間でも業務をこなしており、特にSC業界においては管理者未満や時給扱いのスタッフについては違反問題になりかねないからだ。

 

こうした問題を未然に防ぐためには、企業側はまずスマートフォンでの業務システムへのアクセスの提供などが本当に必要かどうかを考えるべきであろう。業務効率化の名の下に”いつでも・どこでも”仕事ができることが、どれぐらいメリットがあり、リスクになるのかを検討する必要がある。もちろん、緊急時に迅速な対応をしなければならない特定スタッフなどはメリットのほうが大きいだろうが、それ以外の大半のスタッフは、就業時間開始まで待てるであろう。

 

日常的に残業が多い日本において”デジタル残業”がどれぐらい問題になるのか。管理者視点ではなく、利用者視点での使い勝手やメリット・デメリットを明確にし、通話料や通信料をどちらが負担するかは最低限、その他運用ルールをハッキリさせて導入することがこの問題を解決し、モチベーションアップも加えて本当の生産性向上を産み出すことに繋がるのではないだろうか。

 

最近、帰宅時の電車内で見かけた光景だが、折りたたんでいた長い長いジャーナルをバラバラと伸ばし落とす若い女性がいた。アパレル関連の店長と見受けられるが、おそらく外でできる業務を後回しにしてギリギリまで店内で業務をこなしていたが間に合わなかったのであろう。電車内で立ちながらスマホで報告か何かをしている時に少しの揺れで、手に握っていたジャーナルが緩んでしまったようだ。

 

冒頭にも触れたが、SC業界では過去にない人材不足となっている。この光景は、テナント企業だけの問題ではなく、一端はディベロッパー側にも原因があるのではないだろうか。単にIT導入に頼るだけでなく、たくさんの業務そのものの目的を明確にしてシンプルなオペレーションを心掛けることが、ブラック化の排除と人材の定着に繋がり、モチベーションアップした心身共に良い状態で接客販売に専念できる環境を構築できるのではないだろうか。

 

また、システム機能検討に偏ったIT導入が、業務効率化どころか反って非効率な結果を導く可能性があることにも注意しなければならない。ITは人の業務をサポートする手段であり、システム機能に人間が使われ支配される事態だけは避けたいものである。そのためには、業務そのものとITが融合するシンプルな運用方法づくりが不可欠である。

 

SCキューブは、SC運営現場・事業経営・情報システムの各視点とノウハウに基づき、生産性向上に向けた業務そのものの在り方とコストパフォーマンスを追求し続けていることを最後に付け加えたい。

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