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売上報告効率化の切り札、精算レシート撮影・AI-OCR活用システム

■売上報告・売上管理の目的と概要
 SCにおけるテナント売上管理の主な目的は、以下の3つである。
 ①営業状況の把握
 ②歩合賃料の計算
 ③現金売上預かり及びクレジット等の包括加盟に伴う売上預り金の精算
 このうち①については、さほど厳密である必要はなく、月1回の概算売上報告でも構わない。固定賃料のみ、かつクレジット等の包括加盟傘下にないテナントはこれで充分である。
 ②については、総売上から消費税や預かり金、修理代などを控除した「純売上」を、歩合賃料の対象売上として把握する。収入に直結するため、正確さが求められることは言うまでもない。但し、控除項目の内訳まで報告させて毎日チェックするかどうかは、ディベロッパーの方針次第である。
 ③については原則として、現金については入金機データ、キャッシュレス決済については決済事業者からの決済データに基づいて売上預かり金を返還する。但し、決済不備があったときは、レジ登録額に基づく売上報告と決済データが一致しない。両者の照合を行うのは、決済不備を洗い出す目的のためである。

■売上報告のチェックポイントとは
 売上報告は、テナントがレジから出力する精算レシート(ジャーナル、日計表ともいう)をもとに、ディベロッパー指定の項目を抽出し、一部手計算で集計して作成する。このため、計算ミスや入力ミスというヒューマンエラーがつきものである。当然ながら、報告項目が多いほど手間がかかり、ミスも発生しやすい。
 そこで、協会提言では、報告項目を絞り込むことが提案されている。上記②控除項目の内訳については、チェックの手間の割に歩合賃料収入への影響がわずかなため、テナントの純売上報告額を正として割り切り、割愛する方が合理的といえる。
 一方で③決済不備チェックについては、合理性・効率性だけでは判断しにくい面もある。

■キャッシュレス拡大による報告作業の複雑化
 主な決済不備のうち、二重決済は売上管理システムでの検知が可能である。(当社のSCWAREテナント管理システムでも、同額の決済が連続したときのチェックリストを標準装備)
 しかし、例えば18,900円を19,800円と打ち間違えた場合は検知できない。もちろん、決済時のお客様との金額確認を徹底してもらうのが大原則だが、ミスの撲滅は至難といえる。
 一方で、クレジット決済不備は、顧客クレームにつながるリスクがある。お客様の不利益、クレームを未然に防止するためには、精算レシートと照合して決済不備を洗い出すことが不可欠となる。

ただ、クレジット・電子マネー・QR決済・ポイント決済など多様化するキャッシュレス決済手法をどう分類し、レジ設定するかは、テナント企業によって異なる。これを、指定の売上報告項目に分解・集計するテナント、チェックするディベロッパーとも、作業負担が増大しているのは明らかだ。

■AI-OCR技術で課題を根本的に解決
 こうした課題を解決するのが、AI-OCRを活用した精算レシート読み取りシステムである。
 当社の「WebSC Eyes」はクラウドサービスであり、専用のスキャナーやアプリのダウンロードが不要、テナント保有のタブレットまたはスマートフォンとインターネット環境があればご利用いただける。
 テナントスタッフがタブレットやスマートフォンで精算レシートを撮影すると、AI-OCRが指定項目の金額を読み取り、加算・減算して売上報告を自動生成する。ピンボケや歪みがないように撮影すれば、ほぼ確実に読み取ることができるため、売上報告項目数を気にする必要はさほどない。
 もし、印字のかすれなどで読み取りエラーがあった場合は、テナントがその場で修正して報告を完了する。
 手計算・手入力のヒューマンエラーが排除されるため、ディベロッパーは全件目視チェックが不要となる。報告一覧画面に表示される、エラー・修正項目のチェックだけで済むため、作業時間の短縮は画期的だ。
 テナントスタッフにとっても、閉店後に10分でも早く帰れるのは大きなメリットに違いない。

■デジタル化によって拡がるメリット
 加えて、精算レシート現物回収が不要になり、画像データ化されるのも、メリットの一つだ。
紙の保管場所や整理作業が削減でき、検索も容易になる。また、複数施設の売上管理を集約している場合、精算レシートの輸送コスト・輸送時間の削減効果も大きい。
 「WebSC Eyes」で作成された売上データは売上管理システムに連携される。当社「SCWAREテナント管理システム」との親和性が高いのは言うまでもないが、他社の売上管理システムにも、もちろん連携可能である。
 「WebSC Eyes」は、スキャナーや貸出用タブレットなどのハードウェアのコストをかけずにローコストで導入できるのが魅力だ。
 デモンストレーションのご要望にも対応しているので、売上報告・チェック業務の革新的な効率化を、ぜひ体験していただきたい。

※本ブログは、一般社団法人 日本ショッピングセンター協会が発行する「SC JAPAN TODAY」2025年10月号に掲載された『SCへの提言 タブレット・スマートフォンでの精算レシート撮影によるテナント売上報告自動生成システムの紹介』を加筆修正したものです。